意地っ張り魔法使い、X回目の人生でも臍を噛む

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 神童ケントガランには、レオルゴールの魅了の魔法は通用しない。しかし、いかにケントガランといえど、今はわずか10歳である。魔法では敵わなくとも、艶事には疎かろう。  つまり、レオルゴールの計画とは、魔法に頼らない、真っ向からの色仕掛けであった。  ケントガランは王子との婚約をすんなりと受け入れており、男が好きな可能性があると睨んだのだ。  仮に男が好きでなかったとしても、レオルゴールはなんとかなると信じた。彼は魅了の魔法を使い過ぎて、男女関係なく愛されることにすっかり慣れてしまっていたのだ。  彼は故郷を離れ、ケントガランのいる辺境へと向かった。  途中何度か魔法を使って飛び、魔力が尽きれば地を歩いた。  これまで繰り返してきた人生でも、何度か10歳のケントガランに会いに行ったことがあった。ケントガランの生家は、優秀な魔法使いであるレオルゴールの来訪を歓迎し、食客としてもてなした。  その経験則どおり、レオルゴールは大変な歓迎を受けた。そして晩餐の席でレオルゴールと何度目かの再会を果たし、何食わぬ顔で握手を交わした。 「レオルゴールと申します」 「ケントガランだ」
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