意地っ張り魔法使い、X回目の人生でも臍を噛む

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「ケントガラン様、お世話になります」 「堅苦しいのはやめてくれ。同い年だろう?私たちは友人になるべきだ」  レオルゴールはケントガランの言葉に笑って頷いてみせた。  かつて10歳のケントガランに会いに来たときは彼の両親に魅了の魔法をかけたため、初対面で警戒されてしまった。同じ轍を踏まないよう、レオルゴールは魅了を封印し、ただ朴訥とした田舎の少年を装っている。  魅了のない状態で食客になれるのかは未知であったが、ケントガランが両親に口添えをしたのだという。  そう、魅了を使わないレオルゴールに、ケントガランは親切であった。 「食事のあと、よかったら屋敷を案内しよう」  ケントガランは、これまで見たことのないような柔和な笑みを浮かべた。レオルゴールも負けじと穏やかな笑顔を作ろうとして、ひきつったような顔になってしまった。 「ありがとうございます」  レオルゴールはケントガランという険しい山の懐柔に着手した。 * 「レオルゴール、一緒に図書室へ行かないか」 「ああ、行こう」  レオルゴールの密かな企みを知ってか知らずか、ケントガランはレオルゴールに親しみを込めて接している。
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