意地っ張り魔法使い、X回目の人生でも臍を噛む

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 レオルゴールの方も、最初はケントガランの一挙一動を見逃すまいと目を見開いていたが、ケントガランに悪意がないため、いつしか自然体で接するようになった。 「今日は何を?」  図書室へ向かう道中でレオルゴールが尋ねると、ケントガランは顎に手を置いて答えた。 「そうだな、時を操る魔法なんてどうだろう? レオルゴールは時魔法に興味はあるかい?」 「あまり詳しくないし、いい思い出もない」 「へえ、知らないのか」 「知らないとは言っていないだろ!! 詳しくないだけだ!」  レオルゴールは強く反駁した。彼の高すぎる矜持は、ケントガランの軽口に機敏に反応し過ぎてしまうきらいがある。 「いい本があるんだ。私もまだ読んでいないんだけど、一緒に読んでみよう」  ケントガランはもう何百回も読んだ本をレオルゴールに勧めるために、まだ読んでいないと嘘をついた。  そう言われれば、レオルゴールも素直に受け入れることができる。ケントガランはレオルゴールと同い年でありながら、レオルゴールのような困った人間の扱いに長けていた。  ケントガランが幼少期に読んだであろう書物は興味深いものであった。
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