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レオルゴールの魔法の基礎はほとんど独学であり、書物というものに頼ったことがなかった。
学校に入学しても、彼は国を救うために奔走し、授業を抜け出しては王子に会いにいかねばならなかった。
つまり、レオルゴールはこの時人生で初めて読書に熱中することができたのだ。
魔法が言葉で論理的に記されているそれらの書物によって、彼がこれまで感覚で行っていたことが言語化され、彼の脳内の靄のようなものが整理されていくのだ。
真面目な気質のレオルゴールにとってそれは非常に快く、寝食を忘れて熱中した。
10歳にしては途方もないほどの実力を身に着けている2人のことである。互いに魔法について語れば時が経つのも忘れて没頭し、図書室に籠もって何度も朝焼けを共に見た。
レオルゴールは初めて、対等な目線で魔法を語れる、得難い友を得た。
しかし、レオルゴールの魔法への探求心は、ケントガランを凌駕するほどであった。
「レオルゴール、今日は食事を抜いてはいけないよ」
図書室に入る前に、ケントガランはそう忠告した。
何度目かわからないその忠告であるが、レオルゴールが受け入れることはない。
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