意地っ張り魔法使い、X回目の人生でも臍を噛む

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「わざと食事を抜いているわけじゃない!」 「わかってるよ。私が食事を忘れないために、君が食事の時間を知らせてくれないか?」 「ふん、まあ、いいだろう。……それより、昨日の本だが、あの理論は間違っていないだろうか」 「どの箇所だい?」 「3章の……」  レオルゴールは清窓浄机に喜び、しばし自らの目的を忘れて勉学に専念した。 *****  そのような日々を送っているうちに、レオルゴールは14歳になった。  ケントガランはよき友であり、よき競争相手である。  いま、レオルゴールには悩みがあった。それはこのまま無事に王子と婚約できるのかどうかである。 「ケントガラン、お前、弱点はないのか」  ある時、レオルゴールは思い切ってそう尋ねてみた。 「私なんて、弱点だらけさ」  ケントガランは落ち着き払ってそう答えた。  レオルゴールは頭を抱えた。ケントガランの傍にいればいるほど、彼を打ち破る手立てが思い浮かばないのだ。  そもそも、レオルゴールはケントガランを惚れさせるつもりでここへ来たはずであった。
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