意地っ張り魔法使い、X回目の人生でも臍を噛む

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「ああ! やっぱり俺の方がすばらしい魔法使いだったのだ。今に見ていろケントガラン、俺の完成した魔法を見て腰を抜かすがいいさ」  過去繰り返されてきた人生の中で、彼は陰鬱な表情をしていることが多かった。しかし、今世は彼は彼の興味の向かうままに生きたことで、いつの間にか顔から影が消えていた。 「ああ!! 俺は天才だ!!」  それはもはや別人格の相を呈するほどであった。  レオルゴールは小さく呪文を唱えた。複雑な魔法は呪文と魔法陣の両方で発動する。レオルゴールが魔法陣に触れると、それは紙から浮かび上がり、光を帯びた。    天才たるレオルゴールは、この時自身の魔法が失敗するなどとは微塵も考えていなかった。未来へ行く魔法が誰も使えないのは、これまでの魔法使いどもが暗愚であったからであり、レオルゴールには関係のない話であると思っていた。  しかし、レオルゴールの高すぎる鼻柱は、あえなく叩き折られる。  魔法陣はガタガタと不審な挙動をとったあと、黒い炎となって渦を巻いた。  魔法の失敗はすべて術者に還る。渦は勢力を増して、レオルゴールめがけて突進した。 *
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