意地っ張り魔法使い、X回目の人生でも臍を噛む

23/37

6人が本棚に入れています
本棚に追加
/37ページ
 王子の婚約相手がケントガラン以外であるなら、あとから排除することができる。なんとしても、婚約をさせてはならないのだ。  レオルゴールの言葉をどのように捉えたのか、ケントガランは身を乗り出した。 「なぜ? なぜ婚約してほしくないんだ?」 「なぜって……」  レオルゴールは口ごもった。自分が王子の配偶者になりたいからだとは、庶民の身分のままである今は口が裂けても言えない。  レオルゴールが答えないでいると、ケントガランが次の質問をした。 「私が婚約するのが嫌なのか?」 「……」 「なぜ? 寂しいから?」 「……それも、あるかもしれない」  レオルゴールな素直な少年然として頷くと、ケントガランはさらに身を乗り出した。 「私たち、とっても仲良しだと思うんだ。隠しごとはなしだよ」 「それはわかってる」  二人の間に沈黙が落ちた。レオルゴールは居心地が悪く、場をつなぐためにクッキーを頬張ったが、味がしなかった。  ケントガランはそんなレオルゴールをじっと見つめて、ふっと笑い、それから口を開いた。 「私も、隠してることをひとつ言おう」 「はい?」 「私、君が好きなんだ」
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加