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ケントガランは訥々と話した。レオルゴールはケントガランが言わんとするところを図りかねて、押し黙った。
ケントガランの告白は続く。
「……あの出来の悪い王子と手を取り合うより、君と語らっていた方がずっと楽しい。……君の返事を待つつもりだったんだが、やめた。君が好きだ。王子との婚約は断る。そして君とこのままずっと一緒に暮らして生きたい。君が私のことを好きでなくても構わない。私と結婚してほしい。」
「なっ……何を言って!」
思いがけない話の着地点に、レオルゴールは目を見開いた。いつもの悪癖で反駁しかけたが、それは次なるケントガランの行動で飲み込まれた。
「レオルゴール、どうか私と結婚してくれないだろうか」
ケントガランは膝をつき、レオルゴールに頭を垂れた。
レオルゴールは気骨のある青年である。他人に指示されるのを嫌い、抑圧を憎む。しかし、頼まれるとめっぽう弱い。
レオルゴールは急に素直な気持ちを取り戻した。彼だって、ケントガランを憎からず思っていることは先日気が付いている。
「そ、そこまで言うのなら、してやらん……こともない……」
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