意地っ張り魔法使い、X回目の人生でも臍を噛む

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 レオルゴールが握手を求めて手を差し出すと、ケントガランはその手を掴んで引き寄せた。レオルゴールは体勢を崩してケントガランの膝に座る格好になった。 「何をするんだ!」  ケントガランは小型犬のように騒ぐレオルゴールを両腕で抱きしめた。 「……どこにも行かないか?」  耳元で囁かれ、レオルゴールはくすぐったさに首をすくめた。 「自分からは行かない」  レオルゴールの言葉は意味深長だ。ケントガランは不安になって、レオルゴールの頬を撫でた。 「いま、君のすべてがほしいと言ったら?」 「?」  純朴なレオルゴールは首を傾げた。ケントガランはすべてを察した。 「大丈夫だ、私にすべて任せてくれ」  そうして彼は噛みつくようにキスをした。 「ん……んぅ、あっ………あぁ……」 「どう? 痛くないかい?」 「いっ……うぅ……」  神聖な学び舎の敷地内になる寄宿舎で、青年たちは愛を交わしていた。といっても、それはまだ稚拙な行為だ。レオルゴールは初めて尻を男に差し出し、ケントガランの一物を半ばほどまで銜え込んだものの、痛みで汗をかいていた。しかし、痛いと口にすることは彼の矜持が許さない。
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