意地っ張り魔法使い、X回目の人生でも臍を噛む

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 レオルゴールは冷たい床に無様に転がりながら、それを見ていた。ここから出してくれと懇願したい衝動を覚えたが、それは叶わなかった。人を眠らす魔法を使う者に心当たりがあり、それが敵対している人物であったからだ。 「ケントガランか?」  レオルゴールが呼びかけると、銀の仮面は小さく頷いた。この仮面の奥に黒い切れ長の瞳があることをレオルゴールは知っている。 「なぜここに?」  王子の婚約者はレオルゴールの疑問に答えなかった。  きっとこの男はレオルゴールがまだ何かたくらんでいると決め込んで、息の根を止めるために来たに違いない。明日から始まる裁判など待っていられないのだ。レオルゴールはそう思った。  レオルゴールは毅然と顔を上げて、好敵手を睨みつけた。 「お前も俺も敗北者だ。勝つのはこの国の出生主義だ。階級制度だ。お前は君の地位を守ったつもりだろうが、その地位を守ったことで、それより上にはいけなくなった」
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