意地っ張り魔法使い、X回目の人生でも臍を噛む

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 レオルゴールははね起きた。幼い体はか細くはあるが、牢に放り込まれて衰弱した体よりも機敏に動く。 「ああ神様! 許してください、俺はまたあなたの期待に応えられませんでした!しかし、あなたは再び俺に命を下さった!俺に使命を果たせとおっしゃるのですね!」  10歳のレオルゴールはめちゃくちゃに叫んだ。  父親は息子の豹変に驚愕し、母親はすっかり怯え切った。しかし、レオルゴールはそんなことを気にしていられない。  すでに彼は数えきれないないほど彼の人生をやり直しているのだ。  何度もケントガランに挑み、何度も破滅の道を歩いた。どれほど慎重に策をめぐらしても、ケントガランを打ち破ることができない。  今回は学校の関係者すべてに魅了の魔法をかけた。解くことなど不可能だと思うほど、それこそ3年もかけ続けた。しかし、それでもこの有様である。  再び巻き戻った時計の針に耐えるために、レオルゴールはあらん限りの力で叫び続けた。そうしなければ、この気が狂うような輪廻から解放してもらいたいと願ってしまいそうなのだ。  ――それもまた、彼の矜持が許さない。 *****  ケントガランは天才だ。
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