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「良く私が来たのが分かりましたねアンナさん!?」
「こんな強いマナを持つ奴が店の前に居たら警戒するわよ・・・」
そう答えながら苦笑いを浮べる元宮廷魔導士で有るアンナに招かれたシホ達が古ぼけた魔道具店へと足を踏み入れると、おおっ!!?とシホを除いた全員から狭い店内にずらりと並んだ魔法アイテムや防具類に驚く声が上る中・・・シホはアンナに付いて行きながらレジの有るカウンター席に向かい合って座った。
「改めて言うけど・・・ホントに久しぶりですわね。前に会ったのはミユキとアーノルド先生の結婚式だしたかしら?」
「はい・・・一年程前に義父と儀母に連れられて・・・」
そうぎこちなく笑うシホにそんなに緊張無くても・・・とアンナから困った顔が浮かぶのも無理は無い・・・正直二人にとってちゃんと話すのは今日が初めてなので有る。
「ゴメンね・・・急にお爺、、この店の店長がどっかの女子爵様の領地に引き抜かれてしまってね・・・」
「いえ・・・事情はそれとなくソフィーさんから聞いてますので・・・」
そんな苦笑いを浮べる自分も含め父と母で有るが愛用している鍛冶屋の娘の名前が出ると、そうそう聞いたわよ!と興奮しだすアンナにシホはへっ・・・?と困惑する様に首を傾げたのだ・・・
「ミユキに届いた手紙で知ったんだけど・・・あのソフィーがお婿さんを取ったって本当なの!」
「は、はい・・・イエーガーさんと言って私達トリントン王国の元騎士団長ですよ?」
そう答えるシホに元騎士団長が鍛冶屋の婿とか萌えるーっ!!とミユキが悶える様にくねくねとしていると・・・そろそろ本題に入りませんか?と呆れた顔をしたシホはジッと彼女を睨んだ。
「あっ・・・ゴメンなさいね。つい癖で・・・それでソフィーからの手紙でも聞いてるけど本当に私で良いのかしら?」
少し不安そうなアンナの様子に勿論です。と答えたシホがニコっと微笑むと連れて来た仲間達を見渡したのだ・・・
「確かに本当は貴女のお爺様でソフィーさんの師匠でも有るアルケミストのディスキンス様に頼むつもりでしたが・・・昔と変わらず高品質な品揃いに感服しました。」
そう言いながらフフッと笑うシホにギョッとしたアンナは少し困った顔で腕を組んだ・・・
「そう言ってくれるのは嬉しいですが・・・あんまり自信は無いですわよ?」
「そう言うで有ろうと・・・ソフィーさんから預かった物です。」
そんな長細い木箱を開けたシホにこれは・・・とアンナが驚いた様に目を見開くのを見て、お願い出来ますか?とシホが首を傾げた。
「いつまでに?それと・・・付けて欲しいマナタイトの属性も教えてくれないかしら!?」
そう言いながら興奮するアンナにシホはカウンターの前にメモを置いた。
「詳しい属性はこのメモに・・・それと出来れば納品は入学式までにお願いしますね?」
「はいはい・・・だけどもし、こんな注文をして置きながら入学試験に落ちたりしたら承知しないわよ!」
これから受けるエリス学園の卒業生で有るアンナからビシっと指を刺されると、分かってますって・・・と答えたシホは少しプレッシャーを感じながら仲間と共にブルーハート商会を後にした。
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