エリス王国へ

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『お前さん達の幼さもそうだが・・・まだ学園にも通って無いのにCランクとはなあ・・・お前も知ってるマリアの嬢ちゃんでさえCランクになったのは卒業間近だったからな?』 ギルドからの帰り際にガイルからそんな話を聞いたシホはやっぱりそうだよね・・・と腕を組んでいた。 「さっきから何か変な顔してるけど・・・どうかしたのシホ?」 そんな彼女に幼馴染のツキから心配そうに首を傾げると、んっ?と答えたシホはちょっとね・・・と苦笑いを浮かべた・・・ (そもそも・・・私達の周りに居る大人たちが規格外過ぎるのよ。私の父さんも母さんも凄腕の冒険者だったし・・・セイとツキのおじさんも弓が得意で騎士団の団長だしおばさんは・・・なんか良くわかないけどお城で偉い人?なんだよね・・・) そう自己完結したシホは暗くなりつつある道を歩きながら幼馴染のセイとツキに今後の事に関して注意した。 「良いわね二人共!明日からエリス学園への入学試験が始まる訳だけど・・・あんまり本気を出しちゃダメだからね?」 「・・・俺とツキの学科が既に怪しいんだけど?」 そんな不安そうな顔する双子にそれは別だからね!とシホがジッと睨む横で今度はルウとスウのキーツ兄妹からちょっと良いですか?と手が上った。 「手加減とはどこまでしたら良いんですか?」 「普段から全力なので・・・力加減が分からないのですよね・・・」 シホはそんなキーツ一族の脳筋な考え方にこれは先が思いやられるなぁ・・と頭を抱えていると、どうかしたんですか・・・?と何も知らないシーラからキョトンされたのだ。 「シーラさんって・・・何か癒されますね。」 「ちょっと待って下さいよ!何かバカにされた気がするんですどぉ!?」 そうクスっと笑うシホに向かってシーラが抗議しながら皆を今晩の宿に押し込んでいる中・・・エリス王国を城壁から遠く離れた位置で見ている少年が居た。 「ふーん・・・ここに叔母様が育てた弟子が居るのか・・・会うのが楽しみですね・・・?」 そう独り言ちながらクスっと笑った赤髪の少年は黒いマントに身を包むとサッと消えたので有った・・・ ーーーーー
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