エリス王国へ

2/9
前へ
/18ページ
次へ
「悪いがこの子らの面倒を頼む・・・」 「一応シーラを侍女として付けるから日常の世話は心配しなくて良いからね・・・」 「迷惑をかけるけど・・・あの子達の事を宜しく頼むわねシホちゃん・・・?」 辺境伯で有る祖父のドラヴィスと更に双子の両親で有るウィリアムとレナから二人の事を頼まれたシホはエリス王国に向かう馬車の中で頭を抱えていた。 「どうかされたのですかシホ姉さま?」 「ご気分が悪いのなら馬車を止めますが・・・」 そう心配するルーシーとスージーに大丈夫・・・と答えたシホは苦笑いを浮かべた。 「改めて聞くんだけど・・・何で二人は私の騎士になりたい訳?」 そんなシホの質問に決まっております。と双子の方でも祖父のドラヴィスに似ているのか騎士に憧れている妹のスージーからニコっと微笑まれたので有る。 「エリス王国ではシホ姉さまは聖女と呼ばれている存在・・・でしたら今の内にコネを作っていた方が良いじゃ無いですか?」 「まあ・・・実家の安泰にも繋がるしね。」 更に兄のルーシの言葉が続くと、成程・・・所謂将来の為にね。と・・・シホはまだ自分よりも年下と言うのにしっかりと将来設計を考えている二人に少し嫌悪感よりもその潔さに感心したので有った。 「そう言えばスウ様って昔から大人びてましたよね・・・いつかも婚約する前のステフ様と私をリン様と結婚する前のショウ様の部屋に忍び込む様に言ってましたし・・・?」 「えっそんな事してたの!?」 そうニヤニヤと二年前の悪事をバラし出すシーラにシホからギョッとした顔が浮かぶと・・・スージーからちょっとシーラ!?と焦り出す声が上った。 「もう時効だよ!」 「分かってるわよ・・・」 シホはスージーにそう答えながらも・・・自分の母で有るリンやステファニーに話した事を想像したシホは自分で自分を身震いした・・・ (多分・・・ウチやスズランの周囲が瓦礫と化すな・・・) そんな事を考えながらシホがスージーをジト目で睨んでると・・・ 「ねえシホ・・・何か前に変なの有るよ?」 馬車の護衛として自分の従魔で有るシロの背中に乗ったツキから窓を叩かれたシホはホントだ・・・とバリケードを設置した山賊達を確認すると、ちょっと行ってくるね。と双子に馬車を停車する様に指示を出した。 「ちょっとお待ちください・・・この馬車の持ち主は我がキーツ家で私達はその子孫です。どんな相手だろうと最初に話すのは私達が最初では有りませんか?」 「いやだけど・・・」 一応は筋の通っているスージーの説明に何と返そうかシホが困っていると・・・双子のキーツ兄妹はすたすたと歩き始めた。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加