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呪いを解く唯一の方法は、争いを始めた王族が、相手の種族を愛し愛されることだった。
ノクシア達の活躍により呪いは解かれ、あれから一年。二つの国は過去のしがらみを抱えながらも、共存の道を模索している。
英雄となったノクシアとアルバは、国交のために互いの国を行き来することが増えた。ノクシアは、アルバが王子だと知った時は流石に態度を改めたものの、アルバ本人に頼まれ、前と同じく接している。
「僕の妹の話、聞いた?」
「ああ、我が国の王子殿下との婚約話だな。兄としては心配か?」
「先を越されちゃうのが不満なだけだよ。あー、僕も結婚しようかなあ」
「い、いいんじゃないか」
「だよね! ありがとう!」
アルバに手を握られ、ノクシアは焦る。
「は? ちょっと待て、私は、私は子供を相手にする気は、」
「あのね、僕はこれでも君の三倍は生きてるんだよ。長寿だから」
「なっ」
ノクシアの腰を引き寄せ、彼女の知らない顔で笑うアルバ。
「あのさ、ノクシア。呪いは、愛し合うことで解かれるんだよ?」
「だ、だから何だ」
「そろそろ、ハッキリしてもらえるかな? 白黒付けるのは得意でしょ?」
愛らしく獰猛な白の瞳。ノクシアはもう逃げられない。
「ゆ、友愛という……」
「なに? 聞こえないなあ」
(この……腹黒王子め!)
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