黒に染める光

11/11
前へ
/11ページ
次へ
「玲、観念しろ。黒ってのは闇色だ」  ーー玲みたいな光は喰われるんだよ。  燈也は愛しそうに玲を見つめていた。  誰に対しても光を与える存在になり得る玲。きっと彼女に心酔した者達に大切に守られる。  玲は嫌がるだろうが、守られる=お姫様として囲われる彼女を燈也は想像する。荒っぽいお転婆なお姫様、おかしくて笑えてきた。  これから先の未来。玲の周りに誰がいようとも、燈也は今のポジションを譲る気はない。例え騎士にも、魔法使いにも、大臣にも、番犬にも……玲の隣は荷が重すぎる。  姫の隣は王様が定石だ。  だから、俺が……黒の王様の自分が、相応しい。  それでも奪うというならば、全員蹴散らしてやる。 「やれるもんなら、やってみろ」  燈也は玲を抱き寄せながら、それはそれは人相の悪い、黒い笑みを浮かべた。   Fin
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加