黒に染める光

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 ーーこういう強気な奴の心がポッキリ折れる時の絶望の顔が、最高に愉しいんだよなぁ。  そんなまるで悪役みたいなことを考える。燈也は満たされないものを埋め尽くすように玲に構うのだった。  玲を見ていると、彼女の見たことのない一面を暴きたいと燈也は思ってしまう。これは所有欲なのか、なんにせよ都合のいい暇つぶしの玩具というのが燈也の中の玲に対する認識だった。  そんなある日、たまたま玲が不良達数人に絡まれるところを見てしまった。燈也は今まで誰が困っていようとも何もしなかった。  助けたところでメリットはないし、むしろデメリットが多いからだ。  だけど玲は違う。彼女は自分の所有物だ。だから燈也は自分のモノに勝手に手を出されるのは気に食わない。 「俺のモンに何してんだよ」 「っ……!」  燈也は不良達を睨みながら、玲を背中に隠すようにして立つ。 「なんだぁ?お前」 「……別に?ただの通りすがりだよ」 「はっ、ヒーロー気取りかよ。おもしれぇ、お前もぶっ潰してやるよ」 「あ、そ。ならかかってこいよ」  燈也はニンマリと口元に孤を描いて、不良たちと向き合った。 「俺のモルモットに手ぇ出したこと、後悔させてやる」  そう言って燈也は容赦なく不良達を薙ぎ払っていくのだった。喧嘩慣れしている燈也は、まるで蟻でも潰すように簡単に相手を叩きのめしていく。 「ひっ……おいっ、あいつもしかしてっ!“黒の王様”じゃねぇか!?」  一人がそう叫べば、みるみるうちに戦意を喪失していく不良達。 「ちっ……つまんねぇ。これじゃあ準備運動にもなんねぇよ」  そう言って舌打ちをする燈也に不良達は慌てて逃げ出した。追いかけてトドメを刺してもいいが、結果が見えてることに使う労力が無駄と判断して燈也は玲の手首を掴みながら歩く。 「お、おまえっ!どうして助けてくれたんだよっ」
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