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「なぁ、少しくらい相手してくれよ」
「私は嫌だって言ってるだろ!しつこいっ……っ!」
玲を壁に追い詰めるようにして立つ不良達。玲は逃げようと踵を返そうとするが、それよりも先にリーダー格の男が玲の腕を捕まえて壁に押し付けた。そしてあろうことか、男は空いている片手で玲の着ている制服のシャツを掴んだのだ。
ーーあ?あいつ何して……。
燈也がそう思った瞬間、ブチっと玲のシャツのボタンが弾け飛んだ。
「ひっ……っ!」
玲は羞恥から頬を赤く染める。震える肩、胸元を必死に隠そうとする姿に燈也は頭のどこかが切れた気がした。
「よぉ、ずいぶん勝手なマネしてくれんじゃねぇか?」
不良達は振り返ると、そこにいる燈也に驚く。燈也は顔に青筋を立て、明らかにブチギレていた。
「お前っ、黒のっ……!んで、ここにいんだよっ!」
「おい、やべえって!」
燈也の登場に慌てふためく不良達はジリジリと後ずさる。その態度さえ癇に障った。燈也は彼らに近づこうと一歩踏み出してーー……
そのまま一人の腹を蹴り上げる。そしてうずくまった男に容赦なく蹴りを入れた。
「燈也っ!」
玲は声を上げて、止めに入ろうとする。だけどそれは燈也の鋭い視線に制された。
「おまえは黙って見てろ」
「……っ……」
そんな玲も驚くような冷たい声を放つ燈也に玲は息を呑む。彼は本気でキレていた。蹴られて気絶した男をさらに足で踏みつける。
「た、頼む……もうやめてくれ……」
もう勘弁してくれと土下座する残りの不良達に燈也は、さも当然のように答えた。それは相手を同じ人間と認識していない発言。
「あ?一々蟻のこと考えて歩くのかおまえら?俺の前にいたんだ。踏み潰されても文句はねぇだろ」
逆らったら殺すとでもいうような鋭い目つきに、不良達は背筋がゾッと凍るのを感じた。威圧されて動けない。
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