第一章./閑話

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 (…まぁ、学生の頃とかは写真見ながら、もっと見て分かるくらい優しそうな顔の人なら良かった。って、思わなく……もなかったけど)  仕方ない。  多感な時期の感受性は否めないし。  ただ、・・・・・カッコいい、  とにかくかっこいいの。  我ながら今では、家族の贔屓目なしにしたって父さんは顔の造作も  均整の取れた恰幅も。  写真に写るには  もったいないぐらいのイケメンさんだったんじゃないかと。  ほんとに思うから。  ・・・・たとえ左目に、キズがあろうと。  相当、当時はモテモテだったんじゃないだろうか。  女の子はべらせて、楽しく  真っ盛りピ➖➖➖してたんじゃなかろうか。  ────…正直、子どもの頃の記憶ってほとんど覚えがなくて。  ただ、自分が何を見てこの空気が苦手でこれがイヤで、とか。  そう言った繊細な己の感受性は、  なんとなくからだで覚えてる。  だから、『カッコイイ〜!!』と周囲に()(はや)されても強面の  父親がイヤだったし、やけに注目されるのも至極、(いと)った。  家のなかでのルールや守りごとの厳しさなんかは、母さんのほうが割と精力的だったし。  父親との思い出がそんなに無いくらい、私は長女だったこともあって、  いつも『ちゃんとしなきゃ』『こうしたほうが良いんだ』と。  よく、母方の祖父母にはとくにキツく言われていた、────そして重圧(プレッシャー)だった。  それもあって、実は  父さんのことがあんまり記憶にない。
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