第一章./閑話

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 それ故に母さんは、  生真面目すぎる反面、自分自身に対しても厳しく。  きっと、今までも  押し殺してきた感情面や我慢してきた道が沢山あるのだろうなと。  ・・・・・子どもゴコロながらに、  もしかしたら感じていたのかもしれない。 ───────────── ───────  『────伊万里は、よく、お母さんのこと見て、お母さんにひっついてたからね。人見知りなのかな?この子。と思ってたけど、ちゃんと理由があってその時の自分にとって相手が『応』か『否か』を見極めてたんじゃない?』  『…そう、なの。かな』  『よく泣いてたのも、多分ね。だって、お母さんがいない間に気付いたら自分で気の合う友達つくって遊んでたんだもん。ビックリしちゃったわよ。アレ?あんなにお母さんにべったりだったのに〜って』  ・・・・・いつだったか。  母さんとそんな、何気ない昔話をした時があった。  ちょうど、  ────…父さんが亡くなった頃に。  『…だから、環境の変化やひとの変化に人一倍敏感なだけで、特別、変わった子でも何でもない、伊万里なりの人生を歩んで楽しんでいく子なんだって。ちょっと安心したの覚えてるもの』  『へぇ…』  『よく周りのひとたちの反応を見てた子だったもんねぇ伊万里は。  ………お父さん、あんな感じだから。  色んな人からの視線の中には純粋な好意もあれば、あまり良い含みじゃない意見をもつひとや心無い視線を向けられることも沢山あったし。  まぁ、世の中色んなひとがいるからね』  どこか懐かしげに。  でも楽しげに昔話に花を咲かせた母さんの、穏やかな声の裏には、母さんの  言ったとおりの色んな含みがあって。  それでも、  自らの意志で父さんとの結婚に踏み切ったんだろうなって。  なんとなく母さんを、  誇らしい気持ちに思えたのもよく、覚えてる。  『それもあって、伊万里だけはあんまり懐かなかったかな、お父さんに。いつも怖がってた。お父さんに、と言うよりかは、周りのひとたちの反応を見て嫌がってたって感じで。  ────それはお母さんや、  おじいちゃんおばあちゃんたちが伊万里に厳しくしちゃってたせい。って言うのも……あるんだろうけどね』 ──────────── ───────
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