第一章./閑話

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 ────…ノスタルジックに、懐かしい小話を、ふと、回想しながら  そう言えばそんな子ども時代から、今の今までをずっと過ごしていたよな。  なんて事を、ぼんやりとした思考で  回顧するさながら。  途中、降車ボタンを押して座席から立ち上がると、ICカードを片手に、  手すりに捕まり。  次のバス(ストップ)まで佇立していた私は、  (……そう、言えば)と思い当たる節を拾い、先刻まで立ち話していたアーウェイさんとの  会話を追想する────…、 ─────────── ──────  ────つい帰り際の折だ。  仰々しいリムジンを降りて、『ありがとう、ございました』と謝礼といっしょに、低頭しかけた私に  アーウェイさんが、  ふらっと。こともなげに『そーいやお前の母親、』────なんて、切り口悪く  話の腰を折ったものだから、  何かあるのか?と私はアーウェイさんの言葉の追加を待っていた。  そうして、不審気に首を傾げていたら、  『────いや。お前の母親、随分、物分かりよかったけどおれらみてーな輩を相手にすんの慣れてんのか?』  『……はっ?…ぇっ。どう言う』  『そのまんまの意味。慣れてんのか』    『え…何、か。変な話しました?』  『べつに特別なコトは(なん)も話してねぇよ。ただ『お嬢さんをお借りします』っつったら『どこのどちら様でしょうか』って、やけに冷厳(れいげん)な応対だったから肝座ってンのかと思って』
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