第一章./体調不良

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 苛立ちで、きゅ、と寄ってしまった眉頭といっしょに、顰蹙(ひんしゅく)したであろう自分の一刻者(いっこくもの)さは到底、自覚はある。  とは言え。  気が紛れたおかげで、多少は、偏頭痛が治まりつつあるのも確かなのだが(────無論、機嫌もこの上なくわるく、急下降した)  腰回りに固定された手と、肩にまわった腕にがっちり、ホールドされていて未だに、身動(みじろ)ぎすらとれない。  顔面にはっきり『いやだ』という表情を、こちらは貼り付けているにもかかわらず。  ・・・・・知っているくせに、  まったく離してくれないものだから結局、だんまりしているしか無いのだ。と  とりあえず気配を消すことに努め出してみたのだけれど────…  …ほんのり。  それは唐突に意識すると、ほんのり。嗅覚を刺激する程度の、。  アーウェイさんの纏うアロマの匂いや、車内の芳香剤とは、またちがった薬品のような香りが、  鼻腔の奥をツン、と刺激してくるような、  「……なん。か。におい」  薬品みたいな匂い、する。と、もごもご音に発したような、気は、  する・・・・・、  のに────…。  (…眠くなっ、……)  なんだか急に、眠気を覚えたように目蓋が重く、下りてきて。  うつろうつろ、と。  瞬きを繰りかえし意識を保とうとしている私に、アーウェイさんの、無作法なことばが頭上から降ってくる。  「────…電池切れか、……眠ぃんだろ。着くまであと数時間は懸かっから。寝てろ」  「……ち、違う。…眠く、なっ。  急に、…へんな……、  きゅうに、……  …ねむ、…ぃ、……  ……くな、…っ────…、」 ───────────── ───────
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