第一章./レスト・タイム

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 寝かせられていた自分のからだには、上質そうな(からす)色の皮コートがかけられていて。  私が起き上がった瞬間、スル、とそれが重力によってソファー下に落ちそうになったので  慌てて拾いあげるけれども、視線だけはまわりに釘づけだ。  ジ、と180度、360度一周してまでも見渡すここはまるで、お金持ちが借りる別荘である。  ・・・なんて事を  呑気に、脳内に掲げていた私だが  (…何人掛けのソファー?こんなおっきなソファーの端っこで、私……寝てたの?)  大理石柄の模様があしらわれた、高級そうな(凡そ)8人掛けぐらいのソファーは、  クッションもしっかり、  セッティングされて広々と、リビングのど真ん中を横長に、占めている。  床も大理石ではあるのか、ソファーのまえに置かれた硝子(ガラス)テーブルもある程度長く、  設けられていて。  その硝子テーブル上には、  美味しそうなアフタヌーンティーセットが艶々と。  食欲をそそるような香ばしさを  広げていた。  「えっ。……なん、でここに、いるん。だっけ」
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