第一章./レスト・タイム

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 「………………………………  ………あ」  グリン。顔を声のした方角に、おもいっきりふり仰げば、  吹き抜けになっている頭上の2Fから、  私のことを見下ろすようにして悠然と立つアーウェイさんの姿が、  視界に飛び込んできて、驚く。  ガラスで仕切られた壁面に、  ダランと気怠そうに凭れかかった筋肉質っぽく隆起(りゅうき)した肩には、  無造作にタオルを引っかけていて。  また今日も・・・・・、  一段と  見目麗しい男の、きれいに楕円(だえん)を描く銀色の双眸と、  否応なしに対峙した。  しかも、その下は、  若干、湯気立つ軍人のように鍛えられた胸板と腹筋が惜しげもなく晒しだされた  半裸状態・・・・、なんて始末だ。  (………え?風呂はいってたの?能天気だな)  なんてことを無礼千万にも、脳内で独白してしまい。  口端を引き攣らせながら、唖然、とした表情を顔一面にはりつけ、  呆気にとられていたワケなのだが。  なんだか、暖かいような寒いような。  絶妙に分かりづらい空気の循環には  すぐに気が削がれてしまい、ちょっと肩を竦め、腕をさすってみる。  そこで、自分がジャンパーごと着込んで眠っていたことに気付き、  体感温度も上がってるような気もするので、  上着は脱ぐことに。  そうしていたら気付けば、  2Fから螺旋(らせん)階段で階下に下りてきたアーウェイさんが、  壁に取り付けられたタブレットを、何やら操作して後、  こちらに歩み寄ってきて。  「暑かったか」  「…え?」  「空調は涼しめにしてあるはずだけどな」  「…え?………あ。  あ、ちょ、ちょっと。でも温度は普通だと、思います。私が結構、冷えのぼせ体質なだけなので」
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