第一章./レスト・タイム

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 とくにイライラするでもなく。  吸わず仕舞いに、口端に咥えていた煙草を、硝子(ガラス)テーブル上の灰皿に押しつけ  ごつごつとした指先の関節でグニャり、ひねり潰す。  そうしてゆったり、首を傾げ。  こちらに宝石のような銀色の瞳を向けなおすと、  「────で?もうしんどくはねェのか」  「…………え?」  ワンテンポ遅く。  言葉の理解が遅れる私のことを理解してか。  アーウェイさんは若干、片眉を吊り  上げつつも、私が切りかえすまでの間を待ってくれているようだ。  「あ、……あぁ、あの。  休め、ましたおかげ様で。ゆっくり。  ありがとうございました」  「寝れてねーみたいだったからな。  まぁ…、多少、強制的にクロロホルムを嗅がせたのは認めなくもねぇが」  「……なんだやっぱり、薬の臭いだったんじゃん」  「あ゛?なんか文句あっか」  「いえっ。何も」  やや気遣わしげに、低くも艶っぽい響きで、そう言葉にしたアーウェイさんの善意は  有り難く頂戴するとして。  そのことには  素直にお礼を告げつつ頭を下げたものの、  軍神のように引き締まったガタイの良さが際立つ、その肉体美を惜しげもなく、今、現状、私のまえに晒してる・・・・ってことを。  このひと・・・、  ・・分かっとるんだろうか?
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