第一章./レスト・タイム

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 「……携帯、」  キョロキョロと視線を忙しなく、動かして周囲を捜すのに  当のスマートフォンどころか、私の持ち物すらが一切、見当たらない。  視野に映りこむのは何インチかもわからない、高値のつきそうな液晶ビジョンや、  大理石柄フローリングにダウンライトのついた随分と高い天井。  硝子(ガラス)テーブル上にセットされたアフタヌーンティースタンド、  大きな硝子戸に、左を向けばプールの水面がゆらゆら、と冬風によって波紋を  広げている。  「…」  ・・・・・ほんとうに、贅沢な別荘地。  ふかふかするソファーに腰を落ち着けながら、荒んでいたこころを見つめ直すように、静かに時間が流れる。  ゆるやかで、なんの煩いの音もしなくて。  目を閉じればそのまま安らかな眠りにつけそうな、  (……………、疲れ、た)
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