第一章./レスト・タイム

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 しんどい、しんどいよ父さん。  私どうしたら良い?  ・・・・・ううん、違う。  脱却する方法は自分がいちばん、知ってるのに。  新しいものを取り入れることが、コワイだけ。  今の自分ソノモノを受け入れたら、前の自分は?  これまで苦労してきた過去の自分(わたし)を、蔑ろにするんじゃないの?  いつもそうやって、何度もつまづいて、過ちを繰り返してきたんじゃないか。  だから、『自分を、ラクさせてはいけないよ』ともう1人の自分が私に、  語りかける、いつものように、赦してはイケナイんだと。  「っはぁ、……っっ」  帰って母さんの家事の手伝いして、母さんもパートで疲れてるのにいつも、  私たちのために犠牲を払ってくれてるから、とか。  祖父母に笑顔で「ただいま」って挨拶して、当たり前の日常でいなきゃ、とか。  自分は居候だし、とか、やりたいこと・・・・我慢、  やりたい事?私のやりたい事って、なんだっけ。  わからない。  何もわからない、自分なのに、  自分の感情の整理すらつかない、自分の欲しいものすら分からない、些細なお菓子を選ぶことすら値段に囚われて真実を視えなくする。  自分のやってみたい事も、『覚悟ないのにやるの?』と声が聞こえ、  できることに繋げた自分の選択には『また、そうやって出来ることに逃げる』  ・・・・・そんな。  まるで信憑性のない悪魔の声に、私は、それが真実であると悟ったフリをして、  自分自身のことを、押し殺す。  そうやっての手段しか、  そう、生きるしか  なかったから────…、
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