第一章./レスト・タイム

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 『ほんとにな』じゃないソレはこちらのセリフだコチラの。  誰のせいでこうなった誰の。  アーウェイさんからの、いつもたる、いつもの悪癖には口をへの字に歪めるも  彼の上から退いたからだを、隣のシートにストンっ、と収め。  ソファー下に落ちていた、黒の(高そうな)毛皮(ファー)コートも拾いあげると、「こちらもお借りいたしまして、」と、一応。  一応ね?  かるく払って折り畳んで丁重に返却した私の腕から  雑に、自分のコートを取り上げた彼は、「あぁ、」と生返事をしながら背もたれに、ソレをそのままま引っかけ置いた。  いや、え?雑だな。  絶対そのコート、ブランド物じゃないか。  ・・・・・・ところで、諸君。  目の前の彼、  まだ半裸なんですよね。  ────なんて、そんな高低差の激しい心持ちでアーウェイさんから目線を外した私。  すると、私たちのやりとりを静観していたカーフェイさんが一度だけ、くつりと笑った息遣いを  しずかに、零して。  妖麗に笑った気配に、ちょっと怪訝を深めた目を吊り上げた  こちらの目線に合わせるべく。  私を挟むようにして反対側に腰を下ろしたカーフェイさんの、  す、と伸びた指の関節が私の頬をとんとん、とかるく叩いて「…何かあったか」と穏やかにワケを尋ねてきたのには、  ・・・・・・咄嗟に。  口を噤んでしまった。
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