第一章./レスト・タイム

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 「………何。かって、」  「…言いたくなければいい、べつに。無理強いはしない」  食べるか?なんて、それまでのシリアス展開はそっちのけに、矢継ぎ早に  目の前に置かれたアフタヌーンティースタンドを指したカーフェイさん。  相変わらず、  我が道をいくマイペース自由人の猛烈美丈夫さんだ。  今日も、目も冴えるようなオールバックにされたグレーブラックの髪と、  コートといっしょにバッチリ、決まったスリーピーススーツ姿。  ・・・・・の、  衿もとの(ぼたん)とネクタイは、なぜだか開いてる、そこから覗く白皙(はくせき)の素肌。  着崩され、それだけのアクセントでも  彼を気怠げな色っぽさで仕上げているまさしく、美の彫像である。  いや、かなり年上だけど。  なんなら、お父さん並みな落ち着きっぷりだし  たぶん、私に見せる姿と外で見せてる姿もちがうんだろうけど。  「…ぃ、いただき、ます。……」  「あぁ」  「ぇっ、ほんとに頂いていいんですか?」  「おうおう好きに食べろや」  「……あなたには聞いてません」  「てンめっ、随分とカーフ贔屓しやがってコレ用意させたのおれだぞ」  「それは、…ありがとうございます」  あったく調子いいヤツだなオメェはよぉ。と、あたらしく咥えなおした煙草を、ぷらぷら唇で遊ばせながら  私の返答に切り返してきたアーウェイさんは。  そのまま、ぎし、とソファーに深く腰かけ横柄に、その肉体美を晒しながら  「ん゛あぁ…」と唸り声をあげて天井を仰ぐ。  これ以上は視界に収めていても、目に(ある意味で)毒なので、フイと  視線を逸らし硝子(ガラス)テーブル上の洋菓子をせっかくなので、  吟味することとした。
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