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雨上がりには虹が出る、なんて 毎回上手いこといくわけないじゃん。 しっかり曇り空だよ。 でもあたし、薄曇りが一番好きなんだよな、 なんて思いながら立ち上がる。 あ、傘を忘れないようにしなくちゃ。 そうだよな、いつか上がるんだ、雨って。 そして、必ず降るもんなんだ。 むしろ、降らないと困る。命の水、大事。 つか、循環してるんだもんな。 巡り巡るものなんだ。 やってきたことがなくなるんじゃなくて カタチを変えてまたやってくるんだ。 少しむわっとした雨上がりの空気の中を 一歩踏み出す。 さっきまで雨粒が踊り狂っていた水たまりは 時折光の欠片を浮かべながら温和しくしている。 いずれ此処からは消えて、また違うところで違う色を映し出すんだろう。 じゃあ、またね。 さて、行きますか。 雨上がりのあたしは、また、歩き出す。
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