カゲノコチャン

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 同じ幼稚園に愛ちゃんという子がいました。イニシャルじゃなくて、漢字の愛、ラブです。わたしは、みなさんご存じの通り面白みのない人間ですから、幼稚園の頃もお友達は少ないほうでした。  一方、その愛ちゃんは……なんといいますか、今でいうキラキラ女子で、すごくかわいくて明るくて、到底わたしなんかとは釣り合いのとれない子だったんです。  ところが、ある日を境に愛ちゃんはわたしに話しかけてくるようになりました。わたしが、返事を返さなくても楽しそうに……いえ、嬉しそうに話しかけてきて、どこへ行くにもついてくるようになりました。  それでわたしと愛ちゃんは仲良くなったわけなんですが、親の都合でわたしが引っ越しすることになりまして。そのことを話した時、愛ちゃんはつまらなさそうに「そうなんだ」ってうつむいていました。
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