カゲノコチャン

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 引っ越し先でも、わたしには友達ができました。その子の名前も藍ちゃんです。こちらはラブではなく、色のほうの藍、藍色です。その藍ちゃんとは小学校も同じになり、クラスは違いましたけど毎日一緒に帰るほど仲良くしていました。その関係は六年間、つまり小学校卒業まで続きました。  中学は別々になったんです。普通は、だからといって縁が切れるものでもないんでしょうけど、なぜか藍ちゃんは中学生になるとわたしと距離を置くようになりました。いえ、距離を置くというか……たまにどこかで会っても知らん顔をしてきたのです。おかしいなとは思いましたが、深くは気にしませんでした。  異変というか、本格的におかしいなと感じたのは、中学二年の時でした。担任が変わって男の先生から女の先生に変わりました。その先生の名前は──あい。平仮名です。  そう。わたしには、なぜかずっと『あい』という名前の人が近付いてくる。その担任教師も同じでした。やたらとわたしに話しかけてきて、まるで友人のように振る舞うのです。
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