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彼の通う学校の制服は、黒いブレザーだった。
不良の生徒はいなかった。
彼の知っている範囲内では、バイクに乗る生徒はその学校の生徒には、いなかったのだ。
「尾崎」校舎内で彼は同級生に声をかけられた。
「何だね」彼は思わず笑ってしまった。声をかけてきたその友達は、まだ午前中の授業の一時限が終わったばかりなのに、弁当を食べていたからだった。
「得意技、必殺早弁攻撃だ」
「あほか?」
「あほだよ」
「何しとる」彼は笑っていたが、その時音楽教室で出会った娘を、思い出しているのに気がついた。
彼女の名前を忘れてしまったのだ。
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