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第21話 決着
心の底から私を愛している者でしか外せないブレスレット……。
それを、マリユスは簡単に外してしまった。
(ええ!!!)
私は、ブレスレットをコルネイユに投げつけているマリユスを驚いて見上げた。
「何をそんなに驚いているんだ?」
「だ、だってマリユス……私のことを心の底から? ……」
付き合ってはいるものの、今までそんな素振りを一切見せなかったマリユスの本心を知ってしまった私は、戸惑いながら小さな声で口籠った。
「やっぱり、言わないとわからないか……」
そんな私の様子にマリユスはため息をつきながらぼそっとつぶやいたが、気持ちを切り替えたのか再び前を向き、鋭い眼差しでコルネイユを見据えた。
「コルネイユ。コレットにした仕打ち許すわけにはいかない。俺はお前をここで倒す!」
マリユスは私を自分の後ろに隠すと、剣をしっかりと握りしめた。
ブレスレットを投げつけられたコルネイユは、わなわなと怒りで震えている。
「このブレスレットを簡単に外すとは……。くそっ、計算違いだった。こうなったらマリユスを魔力で……。おい! 俺の目を見ろマリユス!」
(だめ!!!)
ここでコルネイユの目を見たら、今度はマリユスが動けなくなってしまう!
私は、咄嗟にマリユスの前に出てマリユスにキスをした。
「んっ!?」
マリユスは何が起こったのか理解出来ずにしばらく固まっていたが、私がマリユスから顔を離すと私の肩に優しく手を置き私を見つめた。
「どうしたんだコレット」
「コルネイユの目を見ちゃだめ! 魔力で操られるわ!」
「そうなのか? 助かった、ありがとうコレット。続きはコルネイユを倒した後だ」
(つ、続き?)
マリユスはそう言うと、素早い動きでコルネイユに向かっていき剣を振りかざした。
負けじとコルネイユも魔力で剣を出したが、マリユスの剣に敵うわけがなかった。
「遅い!!!」
マリユスはそう叫ぶと自分の剣でコルネイユの剣を弾き飛ばし、真上からコルネイユに剣を振り下ろした。
「ぎゃああああ」
コルネイユは断末魔の叫びをあげると、その場に倒れその残骸は砂になって消えていった……。
「終わった、の、……?」
マリユスがコルネイユに剣を振り下ろすところを見ることが出来ずに目を閉じていた私は、恐る恐る目を開けマリユスを見た。
コルネイユの残骸が消えたのを確認したマリユスは、息を切らせながら私のほうを振り向きうなづいた。
「もう大丈夫だ」
「マリユス!!!」
思わず駆け寄ってマリユスに抱きつくと、マリユスも強く私を抱きしめてくれた。
言葉はなくても、マリユスが私のことを好きでいてくれるのが痛いほどわかってそれだけで幸せな気持ちになった。
「コレット……」
愛おしそうに私を呼ぶ声に顔を上げると、マリユスの顔がゆっくりと私に近づいてきた。
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