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第9話 専属の騎士!?
コルネイユとの食事を終え、屋敷に帰ってきた私は、コルネイユがプレゼントしてくれたブレスレットを眺めていた。
「見れば見るほど素敵なブレスレットだなぁ。あーあ。マリユスもこんな素敵なアクセサリーくれればいいのに……」
いかにも大人の男性という出で立ちだったコルネイユのエスコートが、とても様になっていてついマリユスと比べてしまう。
「マリユスが帰ってきたら、図書館や草原ばかりのデートじゃなくて、街での買い物やレストランでの食事とかもしてみたいって言ってみよう」
私が次のデートでマリユスと一緒に行きたいところを考えていると、部屋をノックする音が聞こえた。
「入るよ、姉上」
「エミール? どうしたの?」
「うん。ちょっと姉上に聞きたいことがあってさ。今日の演奏会で、不審な男を見なかった?」
「不審な男? うーん、見てないわね」
一瞬コルネイユの顔が浮かんだが、そんなことはないだろうと私はコルネイユのことはエミールに言うのをやめておいた。
「何でそんなこと聞くの?」
「演奏会の前にね、不審な、魔力っていうのかな? そういうものを使って他人のチケットを奪ったやつがいたんだって」
「怖いわね。お兄様たちがいない時にそんな人がこの国にいると思うとゾッとするわ」
私は身震いをし、自分の両肩をぎゅっと抱きしめた。
先日魔物騒ぎがあったばかりだし、私も気をつけなきゃ……。
私はそう心に誓うと、アンセルとマリユスの早い帰還を願うのだった。
***
三日後。
国王と姫君を護衛していた王国騎士団が、セリユーズ王国に戻ってきた。
屋敷に帰ってきたアンセルを出迎えると、アンセルはとても疲れた顔をしていたものの私の顔を見た途端嬉しそうな笑顔を見せてくれた。
「お兄様おかえりなさいませ。お仕事お疲れ様でした」
「ただいま、コレット。いつも出迎えありがとう。お前の顔を見るたびにほっとするよ」
「お兄様にそう言ってもらえて嬉しいです。あの、お兄様……マリユスは元気にしてる?」
「マリユス? ああ、お前の同級生か」
「ええ、そうなの。彼、お兄様のことすごく尊敬してるって聞いて……」
遠回しにマリユスの話を聞かなくてはいけないことに少し苛立ちを覚えながら私がマリユスのことを聞くと、アンセルは苦笑いをして私に言った。
「今回の任務でマリユスのやつ、すっかり姫君に気に入られてな。姫君専属の騎士にしたいと言われているんだ」
(ええ!!!)
「当分、姫君の側から離れるのは難しいと思う」
(そんなあ……)
やっとゆっくり会えると思っていたのに。
予想外の展開に、私の目の前は真っ暗になったのだった。
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