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現れた美少年
潤は美青年である。背も高くモデルか芸能人のような容姿をしている。ただ残念なことにチャラい性格をしている。
この夜も合コンで一番の美女――何たら大学のミスキャンパス――をお持ち帰りしていた。
外ではまた雪がちらほらし始めていたが、潤が住むマンションの一室では、熱いキスが交わされていた。
潤がミスキャンパスの服を脱がせようとしたとき、彼女から待ったがかかった。
「何?」
「秋山君、あなた私以外にもいろんなミスキャンパスと付き合ってると聞いたけど、本当?」
「そんなことないよ」
潤のこの言葉は本当だった。潤は誰とも付き合ってはいない。合コンやら逆ナンパでものにした女性達とは一夜を共にするだけの関係だったから。正直言って最低な男である。
「君だけだよ」
息をするように愛の言葉もすらすらと口から出て来る。
そのまま二人してベッドへとダイブする。
「秋山君……」
「潤でいいよ」
そのままもう一度熱いキスを交わそうとしたとき、無粋なインターホンが鳴った。
「? こんな時間に誰だろ?」
「ほっとけばいいじゃない、それより潤……早く……」
潤がミスキャンパスの服を脱がせてる間にもインターホンはしつこく鳴り響いている。
「ああ、もううるさい、ちょっと待ってて、出て来るから」
潤は立ち上がり玄関に向かった。このときインターホンのカメラで相手を確認しなかったのは、情事の邪魔をされた文句を一言言ってやろうと思ってたからだ。
「はい、誰……?」
不機嫌にドアを開けると、そこに立っていたのは、透けるほどに色が白く、瞳が大きい美少年だった。
「誰……?」
思いもかけなかった訪問者に潤は戸惑う。てっきり部屋を間違えたユーバーイーツだろうと予想していたからだ。
目の前に立つ美少年は、高校生くらいだ。こんな知り合い自分にはいないはず。
「……あの、君どこの子かな? うちは秋山って言うんだけど」
濡れた黒目勝ちの瞳でジーっと見つめられ、なんだかバツが悪い。
次の瞬間、美少年はウルッと泣き顔になり、潤に訴えかけて来た。
「ひどい、あんなにやさしく抱いてくれて、愛してくれたのに、知らんぷりするんだ……」
潤はぎょっとする。
「ち、ちょっと待てよ……俺がいつ君とそんなことをした!?」
「その手で俺の体の全てに触れたのに」
その時乱された服を直したミスキャンパスがつかつかと潤と美少年の前にやって来て、潤の顔を思い切り平手打ちした。
「あなた、こんな子供、それも男の子にまで手を出してたの!? 変態!!」
「ちがっ……誤解だよっ」
潤が必死に言うも目の前の美少年はさめざめと泣いている。
ミスキャンパスはプリプリと怒りながら潤の部屋から出て行ってしまった。
「あー、結構苦労して口説き落としたのに」
未練たっぷりに潤が呟く。
見れば美少年はさっきまでの泣き顔はどこへやら、今はニコニコとしている。
どうやらウソ泣きだったようだ。
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