1468人が本棚に入れています
本棚に追加
評判が評判を呼んで、彼を指名してくる新規の顧客もいるぐらい。
そして、とびきり美形の彼は、クライアントだけでなく、社内の女子たちの憧れの的だ。
「ちっ、顔のいい奴は得だよな」
そう言いながら、書類を手にわたしの席にやってきたのは、同期の伊川宣人。彼も営業だ。
「宣人、また舌打ちしてる」
わたしが小声で注意すると、さらに不満げに眉を顰める。
最近、機嫌が悪い。先月、はじめて浅野くんに販売成績を抜かれたからだろう。
でも、年間通せば、まだまだ宣人の右に出る者はいない。部内で主任昇任の一番手と目されている。
自信家で態度は尊大だけれど、それが仕事の上では安心感につながるらしい。
浅野くんとタイプは違うけれど、取引先からの信頼は厚い。
肩幅が広く上背があり、黒髪の短髪できりっとした印象。イケメンの部類に入ると思う。
彼氏なのでひいき目もあるかもしれない。
そう、わたしたちは1年前から付き合っている。
そして3カ月前からは、彼のマンションで同棲していた。
挨拶程度の間柄だったから、告白されたときは驚いた。でも、バリバリ仕事をする姿に憧れていたので、そのときはとても嬉しかった。
最初のコメントを投稿しよう!