蕩ける愛であなたを覆いつくしたい~最悪の失恋から救ってくれた年下の同僚に甘く翻弄されてます~

35/67

1314人が本棚に入れています
本棚に追加
/67ページ
 頭を撫でられている気がして、目を覚ました。  お母さん?  ゆっくり目を開けると、そこにいたのはスーツ姿の浅野くんだった。    「あ、おかえり」  夢だったんだな、やっぱり。  彼がわたしの頭なんて撫でるわけないし。  「こんなところで寝たら、風邪ひきますよ。先に寝ていてよかったのに」  「でも……浅野くん『おかえり』って言ってほしいって」  「それで……待っていてくれたんですか?」  こくんと頷くと、彼はちょっと困った顔になった。  「待ってないほうが良かった?」  「そんなわけないじゃないですか」  寒さのせいか、彼の頬は赤くなっている。  「ほら、ほんとにもう寝ましょう。明日、会社あるんだし」  「ほんとだ。じゃあ、明日ね」  「はい、おやすみなさい」  リビングから出る直前、彼はなにかぽそりと呟いたけれど、よく聞き取れなかった。  聞き返そうとしたら、彼はもう背を向けて、自分の部屋に入っていった。
/67ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1314人が本棚に入れています
本棚に追加