蕩ける愛であなたを覆いつくしたい~最悪の失恋から救ってくれた年下の同僚に甘く翻弄されてます~

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 「うん、うまい」  「ほんと? 口に合ってよかった」  彼はパンを頬張りながら、満足気に頷く。  「梶原さん、料理上手なんですね、見直しました」  「そんなたいしたもの、作ってないよ」  「いや、本当に美味しいです。この味、このワインによく合うな」  わたしは向かいに座る彼に目を向けた。  「今日もまた助けられちゃったね」  「伊川さんが梶原さんの居場所を人に聞いているのが耳に入って、なんか嫌な予感がして」  「ありがとう。助かったよ」  「いや、どちらかといえば、川崎さんの功績が大きいんじゃないかな」  「そんなこと、ないよ、って言ったら正美に怒られるか」  「まあ、今はその話はやめましょう。せっかくの食事が台無しになる」  「そうだね」とわたしも頷いた。  ワインのせいもあったのか、今日の彼はとても饒舌だった。  今、携わっている仕事のこと、趣味のカメラのこと、学生時代のエピソードなど、まるで沈黙を恐れるように言葉をつなげた。  わたしはほとんど聞き役で、相槌を打つ係のようだった。  
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