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彼は「片づけますね」と立ち上がった。
「いいよ、今日はわたしがやるから。向こうで座ってて」というと「じゃあ、ふたりで。その方が早く済むから」と重ねた食器をキッチンに運びはじめた。
洗いものが終わり、タオルで手を拭きながら、浅野くんがこっちを見た。
「ちょっと飲み足りなくないですか?」
嬉しかった。本音を言えば、これでお開きににして、別々の部屋に戻るのはとても寂しい気がしていた。
「うん、明日休みだし、もうちょっと飲もうか」
そう返すと、彼は嬉しそうに目を細めた。
「じゃあ、向こうで待っててください」
浅野くんはそう言って、冷蔵庫のドアに手をかけた。
ソファーで待っていると、浅野くんはカクテルを手にやってきた。
「うわ、綺麗だね」
透明のグラスのなかで、ブルーと黄金色の液体が二層になっている。
「すごい。浅野くん、カクテルも作れるんだ」
「カクテルとも言えませんけどね。ブルーキュラソーの上にビールを注いだだけですから」
グラスをテーブルにおくと、彼は隣に腰を下ろした。
そしてグラスの中身をマドラーでかき混ぜ始めた。
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