蕩ける愛であなたを覆いつくしたい~最悪の失恋から救ってくれた年下の同僚に甘く翻弄されてます~

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 「ずっと……我慢してたんだ、本当は」    そう言うと、彼はゆっくりとわたしに手を伸ばしてきた。  そして、壊れ物を扱うように、そっと頬に触れた。  そのすべてがまるで夢のなかの出来事のようで、わたしはただ、トパーズのように美しく煌めいている彼の瞳を見つめつづけていた。  「前に言ったこと覚えてる? 俺に好きな人がいるって」  わたしはゆっくり頷いた。  長くしなやかな美しい指がわたしの頬をなぞりだす。  それから指に絡めた髪にそっと口づけ、目だけをわたしに向けた。    「はじめて会ったときからずっと好きだった。伊川さんの彼女だって知ってからも、諦められなくて」  「浅野……くん」  「まだ彼が好き?」  わたしはゆっくりと首を横に振った。  「もう、彼への想いはかけらも残ってない。自分でも不思議なぐらい」    「茉衣さん」  アルコールのせいで、いくぶん上気した顔が近づいてくる。  わたしは目を閉じた。  もうとっくに浅野くんが好きになっていた。  少し意地悪だけれど、いつでもわたしを優しく包み込んでくれる彼のことが。
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