蕩ける愛であなたを覆いつくしたい~最悪の失恋から救ってくれた年下の同僚に甘く翻弄されてます~

50/67

1309人が本棚に入れています
本棚に追加
/67ページ
 宣人と別れて、たった1週間しか経っていないから、節操のない女と思われるのが怖くて、気持ちが表せなかっただけで。    それでも、彼の唇が軽く触れたとき、わたしは思わず身をこわばらせて身体をそらし、言った。「だめ」と。  ゆっくり目を開けると、浅野くんが切なげに眉を寄せていた。  「俺じゃだめ?」  わたしは大きく首を振った。  「そうじゃない。本当にわたしなんかでいいの? あなたにまったくふさわしくないのに。3歳も年上だし。浅はかだし。打算で宣人と付き合ってた。あの人の彼女だという優越感を捨てられなくて、それにしがみついて……」    彼は指を立て、わたしの唇に触れた。  「もう、何も言わなくていい」  手がわたしの肩を優しく引き寄せる。  「愛してる」  「浅野……くん」  その言葉ごと飲み込むように、彼は唇を重ねてきた。  軽いキスを何度も繰り返しているうちに、わたしの身体から力が抜けていった。  「ずっと欲しかった、あなたが」  そう囁き、また口づけを交わす。もっとずっと深いキスを。
/67ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1309人が本棚に入れています
本棚に追加