蕩ける愛であなたを覆いつくしたい~最悪の失恋から救ってくれた年下の同僚に甘く翻弄されてます~

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 「浅野さん、会社辞めさせられるって、 本当ですか?」  一樹は目をみはった。  「えっ、何? そんな話になってるの?」  「浅野さんが会社の機密を漏らして、社長室に呼ばれたって」  それを聞いて、一樹はああ、と頷き、それから頬を緩めた。  「それ、完全な誤解」  「そうですよね! 誤解ですよね! 浅野さんがそんなことするはずないと思ってたんですけど、でも良かった〜」  彼女たちは口々に安堵のため息をもらし、手を取って喜びあった。  「その件について話すから、みんなちょっと集まってくれるか」と、後から一足遅れて戻ってきた部長が全員に声をかけてきた。  「外部に情報を持ち出そうとしたのは伊川だ。未遂に終わったから実害はなかったが」  部長の話はこうだった。  一樹のめざましい台頭に、部内トップの座が危ないと考えた宣人は、新製品情報を手土産にライバル社への転職を画策していた。  だが、この夏頃、セキュリティを強化していたこともあり、データは得られず、さらに不正アクセスを試みたことがバレそうになった。  そんな折、宣人が懸念した通り、一樹が自分を追い越してリーダーに抜擢された。  そこで宣人は一樹に不正の濡れ衣を着せ、自己の保身と彼の追い落としの一石二鳥を狙った、というのが事の顛末だった。  あまりにもお粗末かつ身勝手すぎる宣人のやり口に、そこら中でため息がもれた。
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