蕩ける愛であなたを覆いつくしたい~最悪の失恋から救ってくれた年下の同僚に甘く翻弄されてます~

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 一樹は正美を見て、ちょっと困った顔で頭をかいた。  「えーと、そうです。はい。でも、それを知られるとさらにやりにくいっていうか」と一樹は少し困った声で答えた。  でもすぐに、きっぱりと言いそえた。  「誰の子どもであろうと、俺は俺なので。今までと変わらずに接していただけるとありがたいです」  総合商社の浅野商事は日本で五指に入る大企業だ。  驚きすぎたからか、わたしは眩暈(めまい)がして、その場に座り込みそうになった。  たしかに、あのタワマンを所有している時点で相当の資産家とは思ったけれど。  でもまさか、浅野商事の御曹司だなんて。  正美が肘でつついてきた。「知ってたの?」と口が動いている。  「知る訳ないでしょう。寝耳に水」とわたしは小声で答えた。  そのとき、オフィスのドアが開き、宣人が入ってきた。  「おい」とか「あ」とか声にならない声がそこここであがり、それからしんと静まった。  
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