蕩ける愛であなたを覆いつくしたい~最悪の失恋から救ってくれた年下の同僚に甘く翻弄されてます~

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 「俺、兄に頼まれていたんですよ。婚約者である岡路さんの会社での様子を教えてくれって。なので、あなたのこれまでの行状、兄にくわしく報告しておきましたので。近いうちに正式に連絡がいくと思いますよ」  留奈はへなへなとその場に座り込んだ。 「そんなぁ……せっかくお父様がセッティングしてくれた、最高の玉の輿だったのに」    留奈にちやほやしていた男性社員たちも、さすがに呆れたらしく、全員一斉に、留奈に冷ややかな視線を向けた。  一樹は改めてわたしに向き直ると、もう一度抱きしめてきた。  「ねえ一樹、もう離して」ともがくわたしを逃さないように腕に力をこめ、耳元でしれっと囁く。  「だって、こうするしか茉衣を慰める手立てが思いつかないからさ」と。  見えてはいないけれど、きっと、ちょっと悪い微笑みを浮かべているに違いない。  わたしはこれからも、こうして翻弄されつづけるんだろうな、この年下の恋人に。  わたしも彼の腕のなかで笑みをこぼした。
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