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きょとんとしているのは、筒原さんも同じだった。大きな揺れがあったことは間違いないようで、やっぱり俺の気のせいではなかったようだ。
「俺、ちょっと外の様子を見てきます。ばあちゃんを見ててもらえますか?」
「うん、わかった」
事務所が平気なら、外も大丈夫かもしれない。きっとこの近くで、何かが爆発したとか、地割れが起きたとか、それくらいの規模の災難だったのだろう。
俺はそう思って、軽い足取りで事務所の出入口を出た。
「はあっ!?_」
思考が止まる。一旦扉を閉めて、また開ける。さっき見た光景がやっぱり目の前に広がって、俺の頭の中は疑問符でいっぱいになった。
「筒原さん……」
「なあに?」
「ちょっとこっち来てもらっていいっすか……」
ばあちゃんを見てろと言ったり、こっちに来いと言ったり、人遣いの荒いやつだと思われたかもしれない。筒原さんはよっこいしょと言って立ち上がり、ペンギンのような歩き方で俺の元へと歩いてきた。
「あれま!」
筒原さんはそれだけ言うと、事務所の外に出た。「あっ、危ないかもっすよ!」という俺の声聞こえていないようだった。
外の様子を見て筒原さんは呟いた。
「これが噂の、異世界転生ってやつ?」
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