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地震が起きていることは理解しているのに、あまりにも突然のことだったからか、筒原さんはその場に棒立ちになっていた。彼女の背後にある書棚が、ガタンゴトンと大きく揺れている。施錠していない引違いのガラス扉が開いたり閉じたりを繰り返していて、ガシャガシャけたたましい音を立てている。このままだと、筒原さんは書棚の下敷きになってしまう!
俺は、筒原さんを助けようと、筒原さんのもとへ駆け出した。地面が根っこから揺れているから、足取りがおぼつかない。バランスを崩し、前に転びそうになりながらそれでも足を前に突き出す。彼女は俺の顔を驚いたように目を見開いて凝視している。この間、ほんの数秒だというのに、随分と長い時間のように感じられた。
そのとき、ちょうど筒原さんの背後にある書棚が、大きく傾き始めた。俺はなんとか駆け寄り、彼女を引き倒すようにして書棚の下から引き離した。
「大丈夫ですか、筒原さん!」
筒原さんは驚愕した顔で頷いた。言葉が出てこないようだ。口許がわなわなと震え、ただ俺の顔から視線が外せないようであった。
「あれ?……え?」
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