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あれだけの揺れが起こったのだ。室内のものは全て倒れ、書類の山が崩れ、足の踏み場がなくなっていてもおかしくない……はずだった。
「ばあちゃんっ!?」
ばあちゃんは俺が押し込んだままの格好で、机の下で丸まっている。「ばあちゃん、大丈夫かっ!?」
「あれまあ、わたし、どうしてまあ、こんなことになってるのでしょう。いててて、腰が……」
「あっ、ばあちゃん!」
俺は慌てて机の下に潜り込み、ばあちゃんを助け起こした。
「コタロウくん、いたの? ごめんねえ、またばあちゃん、頭がおかしくなったみたいだねえ」
「大丈夫だよ、それより、腰は?」
「年寄りはねえ、常に腰なんて痛いもんですよ。さあさあ、どうしたものかねえ」
絶好調だ。ばあちゃんは、自分の腰をトントンとたたきながら、よろよろと立ち上がった。
よろよろと、とはいえ、ばあちゃん、足腰は丈夫なのだ。俺の助けを借りずとも、床から立ち上がることは出来る。
「空野くん、大丈夫だった?」
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