第一部 序章 ことの始まりは突然に

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 きょとんとしているのは、筒原さんも同じだった。大きな揺れがあったことは間違いないようで、やっぱり俺の気のせいではなかったようだ。 「俺、ちょっと外の様子を見てきます。ばあちゃんを見ててもらえますか?」 「うん、わかった」  事務所が平気なら、外も大丈夫かもしれない。きっとこの近くで、何かが爆発したとか、地割れが起きたとか、それくらいの規模の災難だったのだろう。  俺はそう思って、軽い足取りで事務所の出入口を出た。 「はあっ!?_」  思考が止まる。一旦扉を閉めて、また開ける。さっき見た光景がやっぱり目の前に広がって、俺の頭の中は疑問符でいっぱいになった。 「筒原さん……」 「なあに?」 「ちょっとこっち来てもらっていいっすか……」  ばあちゃんを見てろと言ったり、こっちに来いと言ったり、人遣いの荒いやつだと思われたかもしれない。筒原さんはよっこいしょと言って立ち上がり、ペンギンのような歩き方で俺の元へと歩いてきた。 「あれま!」  筒原さんはそれだけ言うと、事務所の外に出た。「あっ、危ないかもっすよ!」という俺の声聞こえていないようだった。  外の様子を見て筒原さんは呟いた。 「これが噂の、異世界転生ってやつ?」
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