選択の時

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「君の部屋からね、こんなものが見つかったんだ」  フランシスの指は小瓶をつまんでいる。  美しいガラス細工で出来たそれを軽くゆすると中の液体がちゃぷんと揺れていた。 「私は存じ上げませんが……それがどうかしたのですか?」 「中身を調べたところ毒だったよ。それも死に至らしめる猛毒だ」 「ま……まぁ! 誰がそんなものを私の部屋に……まさか、妃である私の命を狙って……!?」 「いいや? 狙われたのはお妃候補の方さ」 「……!!」  聞き馴染みのある、もう二度聞こえないはずの声が背後からしてパトリシアは振り返る。 「エデルドゥール……どうして……」 「俺には毒は効かん。血液による蘇生術を扱う俺に毒の無効化出来ないとでも思っているとは……欲にかられそんなことも分からなかったか? それとも、わざと立ち聞きさせた侍女の報告を間に受けたか?」    エデルドゥールはマントを翻し、一歩一歩パトリシアに近づく。 「アナベルの血液からその小瓶と同じ成分の毒が検出された。俺の血の共有でようやく循環出来たがな」 「なっ……」 「アナベルに毒を盛って殺害したのは君だね、パトリシア」
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